ビンテージジーンズの縫製でよく使われるミシン「ユニオンスペシャル」
まっすぐ綺麗に縫える高性能のミシンが多く誕生している中で、どうしてあえて古いミシンが使われるのか。
今回は、古いミシンの中でも特にジーンズファンの中で人気の高いユニオンスペシャルの魅力をお伝えします。
ユニオンスペシャルとは
ユニオンスペシャルは、130年以上の歴史がある、現存するミシン会社の中で、最も古くて大きな産業ミシン製造会社。
1880年頃にアメリカのシカゴで誕生したという話や、イギリスで誕生した後にシカゴに上陸したという話もあります。
バッグを縫うためのミシンを作ることからスタートしたユニオンスペシャル。薄手の生地を縫う一般的なミシンではなく、厚手の生地もしっかりと縫うことができる特殊なミシンを多数開発してきました。
そんなユニオンスペシャルのミシンの中でも、特に有名なのが「ユニオンスペシャル43200G」。
ユニオンスペシャル43200Gとは?
「ユニオンスペシャル 43200G」は、裾上げ専用に開発されたチェーンステッチミシン。
日本では「ダルマ」、アメリカでは「ブルドッグ」とも呼ばれており、ジーンズ好きの中では有名で、長年愛されているミシンなんです。
ちなみに現在は当時と同じミシンは生産されていないため、日本には数えられる程の台数しか存在しません。ユニオンスペシャル43200Gの当時の定価は40万円程ですが、現在は中古で60万〜100万円ほどで売買されているんです。
また、製造された年代によって「初期は黒」、「中期はえび茶」、「後期はアイボリー」とミシンのカラーが異なります。
チェーンステッチとは?
左側がチェーンステッチ
裾上げ専用のチェーンステッチミシン「ユニオンスペシャル 43200G」。「チェーンステッチって?」という方に向けて、簡単に説明します。
「チェーンステッチ」は、言葉の通り裏側の縫い目がチェーン(鎖)のように見える縫製方法。表側と裏側で縫い目に違いがあるのが特徴です。日本語では「環縫い」と言われています。
チェーンステッチは下糸にも糸のコーンを使用できるため、下糸を頻繁に交換せずに縫い続けることができるのが最大のメリット。
普通に縫うよりも生産性が高いんです。そのため、ジーンズの内股、ベルト、ヨークなど、縫う距離の長い箇所は基本的にチェーンステッチで縫われているんですよ。
チェーンステッチについてはこちらの記事をチェックしてくださいね。
ユニオンスペシャル43200Gはどうして裾上げ専用なの?
「ユニオンスペシャル 43200Gはなんで『裾上げ専用』なの?」そう思われる方もいるのでは?
実は、ジーンズは1つのミシンではなく、股だけ縫うミシン、ウエストだけ縫うミシン・・・いくつものミシンを使って1つのジーンズが完成するんです。それぞれに高い技術が必要とされるんですよ。
ユニオンスペシャル43200が圧倒的に支持されるワケ
主にビンテージジーンズの裾上げで使われるユニオンスペシャル43200G。
たくさんの便利なミシンが存在する中で、なぜ昔のユニオンスペシャル43200Gが今でも使われるのか・・・。
その理由は、「アタリ」の出方にあるんです。
カレンオーバーオール
アタリとは?
アタリは簡単に言うと、ジーンズの色落ち、擦れた跡のこと。サイドシームや裾などのステッチ部分にあらわれることが多く、ポケットに入れていた財布の跡もアタリと呼ばれています。
股の部分につくアタリは「ヒゲ」とも呼ばれ、猫のヒゲのような穿きジワの跡が特徴的。
ユニオンスペシャル43200Gは、針の動きが縫い方向に対して直角ではなく斜めに動き、ジーンズの裾に独特のねじれやしわができるように設計されています。(それがあえての斜めなのか、ただの歪みなのかはわかりません・・・)
そのため、長く愛用していくうちに、立体的な斜めのアタリが出てきます。
このアタリこそ、ジーンズ好きにはたまらないこだわりのポイントなんです。
過去にはねじれたチェーンステッチを改善しようと、ねじれを少なくする工夫もされ、ミシンもアップデートされて綺麗に縫うことが可能になりました。しかし、ビンテージジーンズのブームが来た時に「ねじりのある縫い方が良い!」と人気がでました。
今では、ユニオンスペシャル43200Gによって生み出される立体的なアタリは、ビンテージのデザインとして非常に価値の高いものになっています。
昔ならではのジーンズの良さをリアルに表現するために、ジーンズの世界観を守り続けるために、今でもユニオンスペシャル43200Gが使われ、多くのジーンズ好きの方から支持されているのです。
BOBSONから待望のリジッドデニムが誕生
日本のジーンズ文化を全て詰め込んだ、生地・縫製・デザインなど細部までこだわり抜いた最高品質のデニムが誕生しました。
その名は『B-1969-XX-J STRAIGHT SELVEDGE DENIM』。
B-1969-XX-Jの裾には、もちろん今回ご紹介したユニオンスペシャル43200Gを使用。
また、ウエスト部分はユニオンスペシャルのウエスト専用のミシンを使っています。
生デニムならではの洗った時のアタリ、縮みや毛羽立ちも楽しんでいただける、ジーンズをこよなく愛するあなたのための一本。見て、触れて、穿いて、古き良きジーンズの文化を感じてみてください。
B-1969-XX-J STRAIGHT SELVEDGE DENIMの詳細はこちら